ウチの箱庭では、尾形くんは選手ではなくスタッフとして、チームの戦略を支える立場でした。
だけど、選手に未練はあったみたい。
自分だってグラウンドでプレイして、賞賛を浴びる道だってあったはずなのに。
・・と思いながら黙々と、敵チームの情報を集め分析しながら、裏方に徹しています。
複雑な生い立ちを持った彼は、「愛」そのものを信じていない。
だから恋人同士を何かしら焚き付け、別れるところを見て「この世に変わらぬ愛なんて存在しない」「俺は正しい」と納得する。
なかなか別れなければ、ぶっ壊れるまでアタックを続ける。
で、壊れたのを見てまた「俺は正しい」「やっぱり100点満点だ」と、心でドヤしながら生きています(汗)
そして、杢太郎さんと出会ったのは彼が思うように再起できず、ベコベコに荒れていた時期でした。
杢太郎さんが女遊びを繰り返してるのを見て「この人も俺と同類だ」と信じ込んでいたらしい。
再開したら急に、いい人ぶって結婚なんかしてる。
だからそんなのありえないでしょ、ってわけで標的にしました。
・・「ハァト編」とは、そういうお話です(あ、いや、全部じゃないですけれど(汗))
杢太郎さんとこは壊れませんでしたので、尾形くんは「おかしいこんなはずじゃない」とか思って、色々自分を正当化しようとした感じです。
だけど、尾形くんにはそもそも、「愛など信じない」と、歪んだ認識を持つに至った原因がありました。
原因と思ってる事の裏には、尾形くんの知らない事情が、何か潜んでるのかもしれない。
それを確かめに行くのもやめるのも、自分で決めることだよって感じで、彼のストーリーの最後を締めてあります。
彼がどういう決断を下すか、ここまで書いた私もよくわからないのです(汗)
てか私はホント言うと、尾形くんはそういうこと全部忘れて、仕事に生きてほしいなと思っているんです。
銃での戦いは、彼の本当のいいところ、優れたところを如何無く発揮できるステージでだったわけですし・・。
彼の生い立ちや背景を知らない頭巾ちゃんには、「尾形=稀代の狙撃手」でしかありませんでしたよね。
だから頭巾ちゃんも、彼とガチで戦った。
尾形の亡骸を、頭巾ちゃんがもし見つけたのだとしたら、その心痛を思うとやりきれないです。
オークションに出たのは山猫の絵だけだったのかもしれないけど、ヴァシリ先生のアトリエには、あの日見た道南の風景が、たくさん描き残されている気がします。
何もなかったかのように静かにざわめく海の音まで聞こえるような、そんな風景画がもしあったら、どうにか手に入れて山猫の絵の横に、飾ってみてほしいです。