なりゆきまかせ

基本備忘録です。いや。謎の進行実況です。

記念とう

百年記念塔の解体がとうとう具体化するらしい。残念でならない。
私が読んだ記事では、和人の入植で土地を奪われたアイヌ民族への配慮が足りないという批判が、建設当時からあったとなっている。
私はこの塔の美しい佇まいが大好きだ。
建設、設計に興味をもってその生誕の経緯もそれなりに見聞きしてきた。

元々アイヌへの畏敬の念も含まれて、この記念塔は設計されていた。
北海道の歴史には、開拓でアイヌ民族が多大な犠牲を払った事や、開拓にはアイヌの力も必要だったことも含まれている。塔には、そういった思いを表したパーツも当初予定されていたという。
なぜか塔の本体だけが残されたような格好になっていて、どうもそれは予算と関係だったらしい。
その結果確かに、アイヌを侵略したシンボルだと「アイヌ民族の支援者」からかなりのお叱りがあったとの事だった。
「支援者」、か・・・微妙な言い回しだとは思うが、今はそういう話ではない。

記念塔好きの間では常識に近いかもなのだが、まず、記念塔は決して老朽化していない。
元々100年もつよう、そういう条件でコンペが行われたのだ。
使われているコルテン鋼は経年により出来る錆で、熟成され一層の強度が出る。
塔が建ってまだ50余年。この建物の100年後がどうなるのか、誰も知らないのだ。

私だって「建設後100年」の姿は多分確認できない。
ただ、せっかくここまで、結果として耐久性など実験になっている。
こういう事で後のデータを取れなくなるのは、無念だ。
そしてこのキレイな形状とこのサイズ。絶対にこれから作ることはできない。
ひとつのモニュメントに、これだけの時間と技術を、「手作りで」注ぎ込む時代ではないからだ。

メンテ費用などの事を挙げて、議論は解体ありきで進んでいる。
予算のせいでアイヌ支援者のカンに触るようなものにしてしまって、100年保たせるつもりで作らせたものを、また予算がとか言い出して50 年程度で解体とは、ずいぶん勝手な事を考えるな、というのが、率直に思うところだ。
施政者のクルクル変わる考えで、技術者は本当にワリを食いやすい。
あまり技術者を舐めないでやってほしいと思う。


言いたいことにキリがなくなって来ました。
つまり私は「もったいない」って思ってるんです(o´・ω・`o)